こんにちは、鳥子です。
今回は、降谷零と黒田兵衛のやり取りについて考察しました。
今回取り上げる描写は96巻、女性警察官連続殺害事件のラストの黒田と降谷とのやりとり、そして、104巻、執事になった理由のラストの黒田と降谷のやりとりの2つです。
96巻 女性警察官連続殺害事件
女性警察官連続殺害事件のラストでは、黒田と降谷が電話でコナンの力を借りて事件解決に導いた話をしていました。そして、
黒田「それより例の件はどうなってる?」
降谷「まだ何も」
黒田「報告を怠るなよ、バーボン」
という会話をします。
104・105巻 執事になった理由
そして、執事になった理由のラストでは、コナンを調査しろと依頼をしてきた鷹ジジイと会話をした直後の降谷に黒田から電話がかかってきます。
降谷「はい、降谷です。」
黒田「どうした?なぜすぐに出ない?」「少々声が上擦っているようだが、何かあったのか?」
降谷「いえ、何でもありません!」
という会話をします。
解釈
この2つの描写、皆さんはどのように解釈しているでしょうか?
黒田に聞かれても「降谷は何があったか隠している」と解釈している方が多いのではないでしょうか?
例えば、1つ目であれば、95巻の迷宮カクテルにて深夜の工藤邸に侵入したあと、工藤夫妻、赤井秀一らとお茶会を経て何らかの作戦が立てられたが、黒田には黙っている状況であるという解釈です。
2つ目であれば、鷹ジジイから依頼されたことや依頼内容そのものを黒田に黙っている状況であるという解釈です。
確かに、描写をそのまま受け取れば、そのように解釈できるかもしれませんが、私は次のように考えています。
黒田と降谷の連携
黒田は17年前に警察庁のゼロに所属しており、降谷も現在警察庁所属であることがわかっています。
黒田については、現在は警視庁の捜査一課の管理官に就いていますが、裏では降谷と連絡を取り合っていることからゼロとしても動いていることが濃厚です。
86巻、県警の黒い闇では黒田が毛利小五郎のことを警察庁でも噂は轟いていたと発言。さらに、コナンのことも「眠りの小五郎の知恵袋」として情報が伝わっていることがわかっています。おそらく、同じく警察庁所属の降谷から話を聞いていたと考えられます。
さらに、85巻の緋色の帰還シリーズでは、降谷が赤井秀一を追い詰めるために、公安の部下を引き連れて工藤邸にいる沖矢昴のもとを訪問します。
そして、来葉峠で現れた赤井秀一を追跡する部下を撤退させる際に「上には僕の方から話します」と発言。
その後、95巻の紅の修学旅行のラストでは、工藤新一の生存情報が流れた際に黒田は「工藤…」と苗字に反応します。
おそらく、緋色の帰還シリーズで降谷が工藤邸に訪問したことを思い出しての反応だと考えられます。
つまり、工藤邸訪問の件は黒田に伝わっていることがわかります。
また、92巻の謎解きは喫茶ポアロでにて、伊織無我と降谷が会っていたことを黒田は知っていました。102巻の京都スイーツと毒薬での口ぶりからすると、降谷が黒田に伊織と会ったことを伝えたようです。
そして、97巻、36マスの完全犯罪では、高明警部が降谷との雪山での再会時に初対面を装った場面があります。
2人は景光を介して降谷が高校時代、高明が東都大学時代の頃に会っていますが、そのことを思い出した高明警部はなぜか降谷と再会しても初対面を装っていました。これについては、途中にあった黒田の電話によって降谷と会った際に初対面を装うように指示され、降谷が景光の友人であることや警察官であることを口止めしたことがわかります。
つまり、降谷から黒田に危機が迫っている状況であることが共有されているということになります。
これらの描写から、降谷と黒田は、かなり密に連携をとって任務にあたっていることになります。
お茶会の内容は伝わっている?
これを踏まえると、工藤邸での深夜のお茶会の内容についても、降谷から黒田に伝わっていると考えています。
そのため、女性警察官連続殺害事件の黒田と降谷のやりとりについては、黒田からの問いかけに対し「降谷はお茶会の件を隠そうとしたのではなく、黒田からお茶会のことについて聞かれて、まだ何も進捗がない状況だ」と答えたのではないでしょうか?
具体的には、黒の組織が工藤新一の調査を依頼してきている件について、工藤夫妻から「『工藤新一は死んだ』と黒の組織の人間に伝えて欲しい」といった会話がお茶会でされていたとします。
そのことを黒田に伝え、ラムに「工藤新一はやはり死んでいた」と伝えたのだと考えています。
上記を踏まえると、
黒田「それより例の(ラムに工藤新一がすでに死亡していたと報告した)件はどうなってる?」
降谷「まだ何も(ラムからは動きがありません。)」
黒田「(何があるかわからないから)報告を怠るなよ、バーボン」
という解釈もできるのではないでしょうか?
つまり、黒田は全てを知った上で、降谷に組織からの動きがないか確認している描写だと解釈しています。
鷹ジジイとの連絡は把握している?
そして、扱う2つ目の描写「執事になった理由」での黒田と降谷のやり取りに関しても同様に、鷹ジジイから要求されること自体は黒田兵衛は把握していたと考えられます。
理由としては
- 降谷は風見を同行させていたため、公安として動いていた可能性が高いということ。
- さらに、降谷が乗り込んだ新幹線の車両は、紅葉や伊織が乗っていた車両と同じ車両であり、誰かが鷹ジジイと連絡するためのスマホを置いていたということ。私は、伊織が置いていたと考えています。
そして鷹ジジイが大岡元総理だと仮定し、黒田の時系列を振り返ると、黒田が京都スイーツと毒薬にて元総理に挨拶に行っていることから「黒田はこの時点で何らかの依頼を元総理にしていた可能性が高い」です。
黒田が元総理に何かを依頼したものの、元総理はその要求を飲むために交換条件を提示した。それがコナンの調査ではないでしょうか?
そして、黒田は降谷と元総理が連絡を取るために、大岡家に仕えている伊織に指示を出して、新幹線の車内でスマホを置いてもらっていた。黒田は降谷に「ある人物から依頼があるから、新幹線の指定された車両に行ってくれ」と伝えていたのではないでしょうか?
このように、黒田も把握していたことを踏まえると、
黒田「どうした?なぜすぐに出ない?」「少々声が上擦っているようだが、何かあったのか?」
というのは、黒田の電話してきたタイミングがあまりにもピッタリ過ぎるため、元総理と連絡をうまくとることが出来たか確認するために電話してきたのではないでしょうか?
そして、それに対する降谷の
降谷「いえ、何でもありません!」
という回答は「問題なく元総理と連絡を取ることができた、何の支障もなかった」という意味での「何でもありません。」ではないでしょうか?
バーボンとして動いている時、ジンから独断専行と言われていました。独断専行というのは自分だけの判断によって行うことを意味しますが、それもそのはずで、バーボンには別の指揮系統、つまり公安としての指揮系統があります。組織の人間から見れば勝手に動いているように見えて当然なわけです。
反対に、公安側の指揮系統はしっかり守っているとも解釈できます。
このことから降谷が黒田に全てを隠しているというのは考えにくいです。
細かい解釈は間違っている可能性はありますが、降谷が黒田に全て隠して動いているように見えるのはミスリードな気がしています。
とはいえ、降谷がコナンの正体に辿り着いた時に黒田に報告するかどうかは(現象が現象なだけに)また別問題な気もしますが。
またメモを読んでいただければと思います。