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1000回記念!ピアノソナタ「月光」殺人事件-再起動される神回-

こんにちは、鳥子です。

今回は、名探偵コナンのアニメ1000回放送記念企画で再起動される神回『ピアノソナタ「月光」殺人事件』について記載しようと思います。

ピアノソナタ「月光」殺人事件

収録巻・タイトル

ピアノソナタ「月光」殺人事件は、下記の計6話から構成される名探偵コナンを読む上で欠かせない事件です。

  • 7巻 FILE.2 月影島への招待状
  • 7巻 FILE.3 ピアノの呪い
  • 7巻 FILE.4 残された楽譜
  • 7巻 FILE.5 業火の秘密
  • 7巻 FILE.6 血染めのボタン
  • 7巻 FILE.7 名前の秘密‼︎

ぜひ読んでください。読むべきです。読みましょう。

概要

時期・場所

原作では小五郎のセリフから世間ではゴールデンウィークになっているようです。場所は月影島という東京都に属する、伊豆沖の小島が舞台です。

人物

  • 江戸川コナン
  • 毛利蘭
  • 毛利小五郎
  • 目暮十三

7巻と初期の頃の話とあってかメインのキャラで登場した警察キャラは目暮警部のみでした(高木は19巻で初めて登場)。

原作では探偵団(灰原は18巻から登場)、阿笠博士も出てきていません。

メインキャラ以外の登場人物は、下記となっています。

  • 麻生圭二(あそうけいじ)
  • 麻生圭二の妻
  • 麻生圭二の娘
  • 月影島の前村長 亀山勇(かめやまいさむ)
  • 月影島の現村長 黒岩辰次(くろいわたつじ、56歳)
  • 黒岩の秘書 平田和明(ひらたかずあき、31歳)
  • 黒岩の娘 黒岩玲子(くろいわれいこ、27歳)
  • 黒岩玲子の婚約者 村沢周一(むらさわしゅういち、27歳)
  • 村長選挙候補者 川島英夫(かわしまひでお、56歳)
  • 村長選挙候補者 清水正人(しみずまさと、49歳)
  • 無職 西本健(にしもとけん、55歳)
  • 東京に実家を持つ医師 浅井成実(あさいなるみ、26歳)
  • 島の警察官

月影島への招待状

  • 1週間前に届いた手紙と

  • 2日前にかかってきた男からの電話

満月まであと二日…

依頼料50万すでに振り込んだ

必ず来い…

月影島の麻生圭二…

によって月影島へ向かったコナンと蘭と小五郎でしたが、依頼人であるはずの麻生圭二は12年前に亡くなったピアニストでした。手がかりを求めて、麻生圭二の友人だったという村長がいるとされる公民館へ向かいます。

村長の元へ向かう途中で、浅井成実という医師と出会い、蘭が浅井成実に公民館はどこか聞きます。浅井成実は東京に実家を持つ医師らしく、本土と違って月影島はステキでしょ?と蘭に言います。

浅井成実の

空気は澄んでるし

とっても静かだし

というセリフのタイミングで、大きな選挙演説を流す車が過ぎ去って行きました。もうすぐ村長選挙が行われるということ、浅井成実の患者達曰く川島英夫が選ばれそうという話も聞きました。

3人が、村長がいる公民館へいくと、前の村長である亀山勇の3回忌の法事がこれから行われるようでした。亀山勇は、2年前の満月の夜、公民館のピアノの鍵盤にうつぶせで亡くなっていました。FILE.2の公民館到着時点での登場人物の関係を図で表すと下記のようなものになるでしょうか。

当時、亀山勇の遺体を発見したのは黒岩の秘書である平田和明で、平田曰く、公民館の前を通った時に、ベートーベンのピアノソナタ「月光」が流れており、誰がいるのかと声をかけると音がピタリと止まったとのことです。公民館の中に入ると亀山さんが亡くなっていました。

12年前の麻生圭二が自宅で亡くなる前に、公民館のピアノで演奏していた曲もピアノソナタ「月光」だったため、公民館に置いてあるピアノは、呪いのピアノと呼ばれるようになりました。

ピアノの見た目は汚く、村民から触れるのを恐れられていると黒岩の秘書である平田は言いましたが、コナンがピアノの音をならすと、誰かがこっそり調律しているのからあとは正確に出ているようでした。

コナン達は、法事が終わるまで公民館の玄関で待っている途中、公民館の中からピアノの音が聞こえてきました。コナンは月光の調べだと気付き、ピアノが置いてある部屋へ向かいます。そこには、村長選挙で支持を得ていた川島英夫が変わり果てた姿になってピアノの鍵盤の上にうつ伏せになっていました。流れていたのは月光の第一楽章でした。

事件発生

第一の事件:ピアノの呪い

小五郎が確認したところ、川島英夫は残念ながら亡くなっていました。

コナンは、小五郎の元に届いた手紙の意味を考え直します。

影が消える→光に包まれる→光とは流れていた曲、ベートーベンのピアノソナタ「月光」のことであり、手紙が殺人予告だったということに気付きます。また、FILE.3の最後では、消え始める、ということからこれで殺人は終わりではないという疑いを持ちます。

黒岩の秘書である平田が「これはピアノの呪いだ」というと、小五郎が音を出しているのでは呪いでも幽霊でもなくテープレコーダーであり、12年前と2年前の事件に見立てて誰かが仕組んだ殺人だと言います。

黒岩玲子の婚約者である村沢は、いい加減なことを言うな、だいたいあんたなんなんだ、と聞き、小五郎は東京からきた名探偵毛利小五郎だ、と名乗りますが、村民は小五郎を知りませんでした。

下記は、FILE.3に出てきた公民館のレイアウトを鳥瞰したものです。

コナンは、海に繋がる扉から川島英夫の遺体まで濡れている跡があること、海に繋がる扉は内側から鍵がかかっていることに気付きました。

小五郎が、医師である浅井成実に川島英夫の検死を依頼したところ、溺死であることが判明しました。

また、月光の入っていたテープの頭数分が空白になっていることから、犯人は海で川島を溺死させ、ピアノの部屋まで運び、遺体を運んだ後に海に繋がる扉の鍵を閉め、廊下に出たと考えました。

小五郎は、事件発生の1時間前から小五郎達が公民館の玄関にいたことを考慮すると、犯人は外に出たのではなく、法事の席に戻ったと考えられます。

小五郎は川島が法事の部屋を出ていくのを見たものはいないか聞き、黒岩村長が事件発生前に川島が法事の部屋を出たのを見たことを証言しました。

浅井成実も川島のあとにトイレにいったようですが、行きも帰りも怪しい人は見なかったようです。

小五郎は、男でも女でも1人ずつ調べていけばわかる言いますが、コナンは

  • 川島英夫が大柄な人であること
  • 大柄な人を短時間で海で溺死させ運んできたこと
  • 川島の最中には砂や泥がついているため2人がかりで運んでいないこと

から犯人の条件を男性と考えます。

呪いのピアノと言われているピアノは15年前に麻生圭二から寄贈されたもので、鍵盤のフタの上に書かれている名前を確認しようとしたところ、昼間ピアノに置かれていなかったはずの、月光の譜面が置かれていました。

それを見た西本健は叫びながら飛び出して行きました。あまり事件とは関係ないように見えていた西本ですが、黒岩村長の秘書の平田曰く、西本は2年前に前村長の亀山が亡くなって以降、何かに怯えていたようでした。また、西本は黒岩辰次と幼馴染ということがわかりました。

  • 12年前、麻生圭二がピアノを弾きながら焼死する
  • 2年前、前村長の亀山勇がピアノの鍵盤の上でうつ伏せで亡くなる
  • 現在、法事の最中、村長選挙立候補者の川島英夫が溺死し、ピアノの鍵盤の上でうつ伏せで亡くなっているのが見つかる
  • 黒岩村長と麻生圭二は友人
  • 黒岩村長と西本健は幼なじみ
  • 黒岩村長は川島が亡くなってメリットがあるのは清水だと考えた
  • 清水はメリットがあるのはお互い様だと考えた
  • 黒岩玲子、村沢周一はピアノはなくなってもよいと考えた
  • 村長秘書の平田は村沢を見ていた

第二の事件:残された楽譜

コナンと小五郎は手紙について、殺人予告だったのでは?と考えを改め、再びピアノの近くで殺人が起こると考え、公民館に戻ります。

ピアノの部屋にあった楽譜を見た蘭は、譜面が月光のものであると気付きます。蘭が譜面を見ながらピアノを弾き始めると、月光の音が途中で外れてしまい、4段目の譜面が変になっていることに気付きます。

小五郎が、この譜面はダイイングメッセージになっていて、犯人が取り返しに来る可能性も…と考えたところで、ピアノの部屋の扉が、ギッ ギィィィと音を立てて開きます。

そこに現れたのは浅井成実でした。コナン達が泊まる旅館に電話したところ、コナン達が公民館にいるということで、夜食を持ってきてくれました。

浅井成実はバイトの医者のようなもので、週末には両親のいる東京に帰ってしまうこと、小さな島で医者をやるのに憧れていて2年前から通っているようです。浅井成実曰く、2年前に亡くなった前の亀山村長も公民館でピアノの部屋で亡くなっていますが、検死したのは浅井成実であり、その時は、ピアノの近くの窓が開いていたようです。

島の警察官は、確かに当時窓は開いていたと証言し、小五郎が「亀山が亡くなる前にピアノの音が聞こえていたというが亀山前村長はピアノを弾くことができたのか」疑問に思います。すると島の警察官は、亀山は子供の頃にピアノ教室に少し通っていたらしいが弾いた姿は見たことないと話します。

小五郎は、この話から、誰かが亀山村長の遺体のそばでピアノを弾いており、気付かれる前に窓から逃げたのだと推測します。

小五郎がどの窓が開いていたか浅井成実に聞くと、浅井はこの窓ですと、該当の窓の前に移動して示しますが、そのタイミングで何者かが窓の外にいることがわかりました。黒いシルエットでしかわかりませんでしたが、小五郎は、この人物が楽譜を取り戻しに来たと考え、ピアノの部屋で寝ずの番で臨みます。しかし島の警察官と小五郎は目暮警部が来るまで結局眠ってしまい、小五郎が起きたのは、AM11:24でした。目暮警部が法事に来た38人に対し事情聴取をするということで、手伝いに来いと小五郎に指示します。

小五郎が起きてから約6時間半後のPM5:58に、ピアノの部屋にいるコナン、蘭、浅井成実が目を覚まします。ちょうど小五郎がピアノの部屋にやってきて、蘭が、どう?犯人わかった?と聞きますが、人数が多く名前と住所を確認するだけでも一苦労という状況でした。

浅井成実は疲れているとのことで小五郎が気遣い、事情聴取を1番最後にするようにしていました。この時点で事情聴取が残っている人数は、

  • 村長の娘の黒岩玲子
  • 黒岩玲子の婚約者の村沢周一
  • 村長選挙立候補者の清水正人
  • 村長秘書の平田和明
  • 現在取調べ中の西本健
  • 浅井成実

の6人でした。

現在、取調べ中の西本は何を聞いても黙っているらしく、小五郎はこの西本が犯人だと思っているようでした。小五郎は、譜面のダイイングメッセージが分かれば全てはっきりすると考えているようですが、コナンは

死ぬ直前に犯人の目を盗んで

あんな譜面が書けるわけがない

あれはおそらく犯人があらかじめ

用意しておいた誰かに対するメッセージ

と思っていました。

時間が少し過ぎ、PM6:29ごろ、事情聴取を受けている黒岩玲子が

ちょっといいかげんにしてよ!!私に川島さんを殺害する動機なんてあるわけないじゃない!!

と怒鳴ります。

蘭曰く、もう10分も怒鳴りっぱなしというセリフから大体PM6:19-20ごろから事情聴取を受けていることがわかります。

すでに事情聴取を終えた西本健はまだ帰っておらず、腕時計を見た後、どこかへ走り出します。その様子を見ていたコナンは「僕ちょっとトイレ」と言って蘭と浅井成実から離れ、西本を追います。

西本が曲がったところにはトイレがあり、ちょうど村沢周一がトイレから出てきたところでした。トイレを覗くと西本はおらず、トイレ内にいた清水正人に尋ねたところ、西本はトイレに来ていないようでした。

実は西本が曲がったところをまっすぐ行くと、階段が突き当たりにあるため、西本はトイレではなく階段を登り2階にいったとコナンは考えます。下記がその際の大まかなレイアウトを再現したものになります。

階段を登っている最中に、ピアノソナタ月光の第二楽章が建物内のスピーカーを通して流れ始めます。階段を登った先は放送室となっており、放送室の扉を開けた西本が放送室内の何かにうろたえながら扉の前に座り込んでいました。

コナンが放送室を見ると、黒岩村長が椅子に座った姿勢で背中を包丁で刺され、放送室の放送機器にうつ伏せに倒れ込んでいる状態を見つけました。残念ながら黒岩村長は亡くなっており、目暮が検死官と鑑識を呼びましたが、検死官のみ川島の遺体解剖のために東京に戻ってしまっていました。

代わりに浅井成実が検死を行ったところ、被害者の黒岩村長の遺体は、死後数分しか経過していないことがわかります。

目暮警部が月光のテープを調べると、冒頭5分半ほどは空白になっていたため、川島殺害時と同様に、犯人が黒岩村長を殺害した直後に、月光のテープを流したと考えました。黒岩村長が座っていた椅子の下には、血で書かれた譜面が残っていました。

楽譜の解読:業火の秘密

小五郎は川島が残したものと同様に、血で書かれていた譜面を、被害者が残したダイイングメッセージだと考えます。それに対しコナンは、自分の血で書く時間と体力があるなら、とっくに抜け出して助けを呼んでいるはずという考えから、犯人が残したものだと考えます。

勝手に考えを述べるコナンに、小五郎がガキはすっこんでろとゲンコツを食らわせます。その拍子にコナンは、重要な証拠である譜面の上にこけてしまいますが、なんとかメッセージは無事でした。

目暮警部は

  • 犯人が第一の事件と第二の事件に対し、被害者を殺害した後、曲の入ったテープを再生し、遺体を発見させる手口
  • その曲がどちらの事件もベートーベンのピアノソナタ月光であったこと

から犯人は同一犯と見ていました。

また、第二の事件では被害者の黒岩村長の死亡推定時刻と、月光のテープの冒頭5分半が空白であったことから、黒岩村長が殺害されたのはPM6:30前後と考えられ、容疑者はその時間内に役場にいた

  • 第一発見者 西本健
  • 遺体を検死した 浅井成実
  • 黒岩村長の秘書 平田和明
  • 黒岩村長の娘 黒岩玲子
  • 黒岩玲子の婚約者 村沢周一
  • 黒岩村長と同じ選挙候補者 清水正人

の6人の中に絞られました。

村長の娘である黒岩玲子は、その時間は取調べを受けていて、浅井成実もその時間はコナンと蘭と共にいました。

残る男4人に関しては、その時刻に平田がトイレ付近のソファにいたのを誰も見ておらず(描写としてはちゃんと椅子に座っているのが描かれています)、清水はトイレにいて、村沢はトイレから出てきていたところでした。ただし、1、2分のことなのでトイレの後は何をしていたかお互いわからないという状況です。

西本は、放送室にいって何をしようとしていたのか目暮警部に問われると、話があるから6時半に放送室に来いと黒岩に呼び出されたと証言しました。

目暮もそのことについて、黒岩村長は夕方に人と会う約束があると話していたことを思い出しました。

容疑者達がお互いに、お前が犯人だと言い合う中、コナンは現場に残された楽譜のメッセージについて考えます。コナンが蘭に、音符の横についている記号ってなんだっけ?と聞くと、蘭は、♯や♭ね、半音上がったり下がったりする、黒い鍵盤のことよと答えます。

ピアノの鍵盤を思い浮かべたコナンは、楽譜のメッセージを読みときます。

ピアノの鍵盤の左端から順にアルファベットを当てはめメッセージの文字に相当する音を譜面に書き記すという方法でした。

これを踏まえて、

第一の事件はWAKATTERUNA TSUGIHAOMAENO BANDA(わかってるな次はお前の番だ)

第二の事件はGOUKANOONNEN KOKONI HARASERI(業火の怨念ここに晴らせり)

となることがわかりました。

「業火の怨念」と聞いて、西本、黒岩玲子、村沢、平田、清水は12年前に亡くなったピアニスト麻生圭二を思い浮かべます。麻生圭二は生きていたんだ!と恐れる西本に対し、麻生圭二は生きとりゃせんよと島の警察官が返します。

警察官曰く、焼け跡から妻と娘の骨と一緒に見つかり、調べたら歯形も一致したようです。残ったのは耐火金庫に残された手書きの楽譜でした。小五郎と目暮はこの楽譜に何か手がかりがあると考えますが、楽譜は公民館の倉庫にあり、倉庫を開けるには島の警察官が勤務する派出所にある鍵を取りに行かなければなりませんでした。コナンと島の警察官が派出所に鍵を取りに行くことになりました。

派出所までの道中、コナンは島の警察官に村人たちについて話を聞きます。麻生圭二は自ら火をつけたと証言する当時の目撃者は、

  • 前村長 亀山勇
  • 村長選挙立候補者 川島英夫
  • 黒岩村長
  • 西本健

の4人でした。西本以外はすでに亡くなっている上に、この4人は麻生圭二を含めて幼なじみであることを知ります。小さい頃、5人揃ってピアノ教室に通っていたほどの仲らしく、中でも、西本健は麻生圭二がピアニストとして有名になった後も海外公演について行くほどの仲でした。

年齢を確認すると、西本は55歳、黒岩村長は56歳、川島英夫も56歳で非常に近い年齢が設定されているということがわかります。

コナンはほかの人の話も聞きます。

村沢周一は、口は悪いものの根はいい奴らしく、3年ほど前にぶらりと島にやってくる前はどこかの専門学校に通っていました。村長の娘である黒岩玲子に惚れ込まれ、婚約したばかりのようです。

黒岩村長の秘書である平田和明は、気の弱そうな顔をしているものの曲者であり、川島英夫と公民館でコソコソと会っていたようです。

清水正人は、島の警察官曰く、少々短気なのは玉に傷だが、立派な男であり、正義感が強く漁民からの人望も厚いとのことでした。

派出所にある公民館の倉庫の鍵を1時間以上探したところで、やっと見つけたコナン達の下へ蘭がやってきました。どうやら、第二の事件の犯人のメッセージは「怨念ここに晴らせり」だったため、これ以上は何も起こらないとして容疑者も含めて、みんなを帰してしまったようでした。しかし、コナンは、これまでの事件では月光の第一楽章と第二楽章が流れていますが、月光には第三楽章まであることとから、まだ何か起きると考えていました。

コナン、蘭、島の警察官が公民館へ着き、倉庫を開けようとしていると、コナンはピアノの部屋から何か音が聞こえたといい、ピアノの部屋へ向かいます。

ピアノの部屋の扉を開けると、何者かがピアノの裏に手を伸ばしていたところでした。コナンが扉を開けたことでビックリしたその何者かは、窓を割って逃げてしまいました。コナンは何者かを追いかけようとしますが、村沢周一が床に倒れていることに気付きます。その直後、蘭の叫び声が倉庫の方から聞こえてくるという展開で次の話になります。

第三の事件:血染めのボタン

コナンが倉庫の方へ向かうと、蘭が倉庫の扉の前でうろたえていました。中を覗くと、西本健が首を吊っている状態で見つかりました。

島の警察官に、警部達を呼んでくるよう頼んだタイミングでカセットテープレコーダーからカチッと音がしました。片面30分ずつ録音できる60分テープが入っていたことから、西本が亡くなったのは30分以内の10時半から11時とコナンは考えました。

首を吊った西本の足元には暗号で記された譜面があり、そこにはISHO(遺書)と残されていました。

西本の遺書によると、川島英夫と黒岩辰次を殺害したことを悔いて自殺したようでした。2人を殺害した動機は、過去に「自分達」が犯した過ちをバラされたくなかったためということでした。「自分達」というのは、2年前に亡くなった亀山勇、川島英夫と黒岩辰次、西本健、そして麻生圭二も含んでいると目暮警部は読み取りました。その理由としては、遺書には楽譜の暗号を考えたのは麻生で、上記の麻生以外の4人に教えたと書いてあったため、暗号を使って過去に何かをやっていたと考えたからです。

時系列と相関図を合わせるとこんな感じでしょうか。

つまり、西本は、島の警察官が過去に麻生の耐火金庫で見つけ、倉庫に保管しておいた楽譜から昔の秘密がバレると思い、楽譜を隠滅しようと公民館の倉庫に忍び込んだものの楽譜が見つからず、精神的に追い詰められ自殺に至ったと小五郎は解釈しました。

遺書には、第三楽章と共に我が命を絶つと締め括られており、遠ざかる意識の中で月光の第三楽章を聞いていたのだろうと目暮警部は解釈します。

肝心の麻生圭二が残した楽譜は、12年も前に倉庫に保管したせいか、なかなか見つかりません。また、昔5人が犯した過ちに関して、楽譜の遺書には悪魔の粉としか書かれていないため、何なのか不明なままでしたが、それでも西本の自殺によって事件は解決したと目暮は言います。

しかし…コナンは

  • 西本健の足元には踏み台がなかったこと
  • 自分の遺書をわざわざ暗号では書かないこと

の2点を理由に西本健の自殺は自殺ではないと考えていました。

コナンはピアノの部屋で怪しい人を見たことを目暮警部に言います。

1人は窓を割って逃げた人間で、もう1人はおそらくその逃げた人間に殴られたであろう村沢周一です。村沢はピアノの部屋で浅井成実に手当を受けているということで、コナン、小五郎、目暮警部はピアノの部屋に移動します。ピアノの部屋には脳震盪で気絶している村沢と婚約者の黒岩玲子、村沢を手当した浅井成実と蘭がいました。

黒岩玲子は、清水正人が西本を殺すところを村沢が目撃したために、清水が村沢を殴ったのだと考えていました。これに対し、目暮は清水には、村長選挙にも立候補していない西本を殺す動機がないと返しますが、黒岩玲子は、清水が西本を使って、清水以外の選挙立候補者の黒岩辰次と川島英夫を殺し、口封じのために西本を殺したと考えます。

村沢の婚約者である黒岩玲子は、村沢がこんな時間に何をやっていたか知らないと言いますが、コナンは、村沢周一の近くに落ちていたピアノの調律に使うチューニングハンマーを発見します。コナンは村沢周一が何の専門学校に通っていたのかあたりをつけたようでした。

真犯人の手がかり

目暮警部の指示で、容疑者を全員、役場に集めることになったため、警察は公民館の外に出て行きましたが、コナンはピアノが気になるようでした。

村沢周一を気絶させ、窓から逃げた犯人は、逃げる前にピアノの裏を触っていたため、コナンは同じ場所を調べると、ピアノの裏に隠し扉のようなものが作られており、そこから落ちた粉が麻薬であることを発見しました。

役場に移動し、事件の整理が始まりました。

犯人は、

  • 犯行現場全てで月光を流し、暗号の楽譜のメッセージを残すという手口が同じであること

から、3つの事件の犯人は同一犯であり、

  • 第一の事件では川島英夫を海で溺死させ、公民館のピアノの部屋に運んだこと
  • 第二の事件では役場の放送室で黒岩辰次を刺殺したこと
  • 第三の事件では西本健を自殺に見せかけ吊し上げたこと

から、それ相応の力の持ち主だと考えられました。

医師の浅井成実曰く、西本健の死亡時刻はコナンの見立てと似ていて、午後10時から11時の間だと考えられるようでした。警察が容疑者を役場から帰したのが午後10時頃のため、この条件から容疑者は特定できませんが、黒岩村長が殺害された第二の事件では

  • 死亡推定時刻
  • かかっていたテープの冒頭の空白が数分だったこと

から黒岩玲子と浅井成実のアリバイは成立し、残るは第二の事件時に役場にいてアリバイのない

  • 平田和明
  • 清水正人
  • 村沢周一

の中に真犯人がいると考えられます。

コナンは、第二の事件現場にあった血で書かれた譜面のメッセージを見てから何かが引っかかっているようでした。丁度、鑑識から第二の事件の現場写真が出来上がったということで、写真を確認すると、黒岩村長の遺体の首付近で放送機器の何かのボタンが光っているようでした。

また、コナンは、平田和明が左手を怪我していることに気付きました。コナンが、自動販売機でタバコを買う平田に向かって、ソデに白い粉ついてるよ!と言うと、平田は慌てて服の袖を確認し、その際、財布から外国の硬貨をぶちまけます。コナンは平田の反応を見て何かを確認したようでした。

このタイミングで、島の警察官が、麻生圭二が12年前に残した楽譜を倉庫でなんとか見つけ持ってきます。その楽譜によると「WAGAMUSUKO SEIJIHE(我が息子 セイジへ)」と書かれていました。島の警察官曰く、麻生圭二には娘のほかに息子もいて、小さい頃大病を患って病院に入院していたようです。

コナンはこの息子の名前がセイジだと知ると、何かに気付き、放送室に向かいます。放送室で、黒岩村長がもたれていたパネルのボタンを確認すると、事件の真相に辿り着いたようでした。

以下、真相です。

真相

犯人の正体:名前の秘密!!

犯人が誰なのか辿り着いたコナンは、放送室まで追いかけてきた小五郎を麻酔銃で眠らせます。放送室からのスピーカーを通して、コナンが変声機を使い小五郎の声で真相を話し始めます。

犯人の人物像としては、三件とも力技であり、男性、そしてアリバイのない人物で、残る容疑者は清水正人になります。

注目するのが第二の事件で、第二の事件では、黒岩村長が刺殺された死亡推定時刻は、月光がかかっていたテープの冒頭5分半に空白があることから黒岩村長が殺害されたのは、遺体発見の直前である午後6時半ごろとなり容疑者が絞られるというものでした。

ところが、この時現場を見ていたコナンが小五郎にゲンコツを食らわされ血の暗号の譜面の上に倒れたにもかかわらず、暗号は消えませんでした。

血液が乾くまでに常温で15-30分かかりますが、黒岩村長が数分前に殺害されたにもかかわらず、コナンが倒れた血の譜面は乾き切っていました。

つまり、犯人がトリックを使って、死亡推定時刻を操作していたのだと指摘します。

目暮警部は、死亡推定時刻は浅井成実の検死によって証明されたものであり、月光の入っていたテープも冒頭の空白が5分半しかないことから、犯行は数分前でないとおかしいと言います。これに対し、コナンは、リバース機能を使うことで、カセットテープの曲が入っていない片面30分を流した後にもう片面の月光を流したと考えます。

目暮警部は「そんなボタンが押してあればワシか鑑識が気付いている」と言いますが、コナンは、「犯人は気付かれないようにそのボタンを押した」と言います。

その証拠に鑑識が撮った現場の写真を見ると、黒岩村長がパネルの上にかぶさっている時には首元で何かのボタンが光っているが、遺体をどかしたときにはボタンの光は消えていました。これこそ、犯人が警察の目を盗んでリバースを解除した証拠でした。

警察以外で自然に遺体に近づくことができ、

死亡推定時刻を偽ることができた犯人…

その人物は、

検死をした 浅井成実 だったのです。

第一の事件で冒頭に空白を入れたテープを使ったのは第二の事件のための伏線でした。空白部分を利用して逃走したと思わせ、犯行時刻を錯覚させることができるためです。

このトリックは浅井成実本人が検死をしないと成立しないため、第一の事件によって東京からきた検死官が邪魔になります。そこで、今後も検死できるよう第一の事件では川島英夫の遺体を溺死させ、ピアノの部屋まで運ぶことによって変死とし、解剖のために検死官を東京に戻らせたのでした。こうして、第二の事件でも検死に立ち会うことで、死亡推定時刻をずらし、自らのアリバイを立証させていたのです。

しかし、目暮警部は彼女の細腕では今回の力技は無理だと考えます。

これに対し、コナンは12年前の事件のことについて話し始めます。

12年前、麻生圭二は焼身自殺したとされていましたが、実際は2年前に亡くなった亀山勇、今回殺害された川島英夫、黒岩辰次、西本健の4人に殺害されていました。4人は麻生圭二の海外公演を利用し、麻薬を買い付け、ピアノの隠し扉と暗号を使って麻薬をさばいていました。ところが、麻生圭二がもう協力しないと言い出し、秘密がバレるのを恐れた4人が麻生圭二とその家族を閉じ込め、焼死させたのでした。

この事実は、麻生圭二が耐火金庫にしまっていた楽譜に、息子宛てに書いていたものでした。

その息子の名前はセイジであり、

浅井成実の本当の名前は

あさいなるみではなくあさいせいじで、

女性ではなく男性だったのです。

浅井成実は、父親の敵討ちを目的に、女だと思われている自分を容疑者から外すために、力技を続けたのでした。

真相を語り終える頃、犯人である浅井成実は役場から姿を消します。コナンはおそらく、父親の麻生圭二が寄贈したピアノがある月影島公民館にいると踏んで、走り出します。場面が変わり、月影島公民館につくと、公民館は大きな火に包まれていました。油が撒かれていたため、火の周りが早く、手がつけられない状態でした。

火に包まれていくピアノの部屋には、座ってピアノに寄りかかった浅井成実が

終わったよ…父さん

なにもかも…

とつぶやきます。

しかし、いつのまにか公民館に入っていたコナンが

まだ終わっちゃいないよ

ダメだよ、死んじゃ…

と言います。

コナンは、麻生圭二が残した楽譜を見せながら

「成実、お前だけはまっとうに生きてくれ」

という麻生圭二の残した言葉を伝えます。

浅井成実は、麻生圭二の残した楽譜を読んでいればこんな犯行することはなかったかもな、といいます。コナンはメッセージを読んでいないのであれば、どうやって父のことを知ったのか不思議がります。

浅井成実は、前々から父、麻生圭二の死に疑問を抱いており、その真相を探るために医大卒業後、女医として島にやってきて自分で調べたのでした。

元々顔立ちが女性のようで、医師免許にも読み仮名が振ってなかったため、誰にも疑われることはありませんでした。しかし、第一の事件の際の事情聴取は、調べられれば男性であることがバレてしまうため、コナンと蘭と小五郎夜ふかしすることで、順番を後回しにしてもらったのでした。

浅井成実が事件の真相を知ったのは、2年前、亀山勇前村長に公民館に呼び出されたときでした。亀山は麻生圭二の息子だとわかると、怯え出し、

  • 麻薬のこと
  • 暗号のこと
  • 麻生圭二を殺害したこと

を話すと心臓麻痺でぽっくりと亡くなってしまいました。その時に今回の犯行を思いついた浅井成実は、亀山の遺体の側で、麻生圭二の好きだった月光を弾いていたのです。

真相を語った浅井成実を火に包まれたピアノの部屋から出そうとすると、

もう遅いよ、オレの手はあの4人といっしょ

もう血みどろなんだよ…

と言い、コナンを持ち上げ、窓の外へコナンをぶん投げます。ピアノの部屋へ戻ろうとするコナンを蘭が制止すると、炎の中から暗号になった曲が聞こえてきます。燃え盛る炎になす術はありませんでした。

月影島から東京に戻る船の上、

蘭:どーして成実先生、お父さんに殺人予告状なんて出したんだろ?

やっぱりお父さんに対する挑戦状だったのかなー…

コナン:きっととめてほしかったんだよ…

自分が人殺しするのを…

蘭:ねぇ、成実先生が弾いてた暗号って何だったの?

コナン:え?

忘れちゃったよ

そんなもん…

蘭:あーその顔は知ってる顔ね!

コラ、教えなさいこのマセガキ!

コナンは、ポカっと蘭からゲンコツを食いながら、

ARIGATONA CHIISANA TANTEISAN。

と、浅井成実が弾き残した暗号を思い、事件の幕が閉じたのでした。

読み直して思ったこと

村民の反応

久しぶりに読み返してみて気付いたことです。

  • 毛利小五郎への依頼料はちゃんと振り込まれていたこと
  • 手紙の消印は月影島になっていたこと

から、誰かが事件を解いてほしいと思ってる人が確実に月影島にいたことがわかります。一方で、

  • 月影島の村民は毛利小五郎を知らない

という矛盾点に気付きました。

村民が小五郎を知らないという描写は、2話目に登場するのですが、この時点で、おそらく勘の良い人は誰が犯人かあたりがつけられると思います。

つまり、この段階で、手紙を出した人物の条件は、小五郎に依頼できる人物であり、それは

  • 毛利小五郎を知っている、知ることができた人物

ということになります。毛利小五郎が探偵として東京で有名になり出したのは7巻の時点で考えるとごく最近のことです。2話目の時点で東京の最新の情報を知り得たのは、毎週末に東京の実家に帰っている浅井成実しかいないため、「一見ギャグっぽい村民の反応がちゃんと重要だったんだな」と1人感動しました。

まぁ、もちろん3話目以降で他の容疑者に東京に関する情報が出てくる場合もありますし、話を全部読み終わった時に、海外から麻薬を買い付けている人もいるため、全く容疑者全員が東京とは関係ないとも言えませんが、浅井成実(あるいは浅井家)を怪しいと思うことはできます。

犯人の条件とフィルター

作中でコナンは、犯人を男性ではないか?と考えました。推理物において犯人を特定するために条件を考えることは必要です。特に「あの方」は誰なのか?など黒の組織に関する大きな軸をもとに考察する際は、その候補は名探偵コナンの登場人物1000人以上が対象になるため、条件を考えることによってフィルターをかけることが大事だなと思いました。条件がわかれば、候補が1000人いても数十人にすることができます。どんな人が犯人になり得るのか、は毎事件考えておきたいものです。

最近の事件との関連は?

この殺人事件において、現場に残されたメッセージは、被害者が残したダイイングメッセージではなく、犯人が残したメッセージでした。必ずしも現場に残るメッセージ全てが被害者のものではないと思い出させてくれる事件ですね。

個人的にこの描写は、羽田浩司殺人事件のメッセージにも関連するのではないか?と考えています。2021年現在、未だに謎に包まれている羽田浩司殺人事件ですが、被害者の羽田浩司が残したとされるPUT ON MASCARAのメッセージは、実は浅香が羽田浩司を殺害し、その上で浅香が残したものだと考えています。

また、浅井成実同様、親を殺害されたという点で考えると、

  • 警察学校編の諸伏景光
  • 最近ではないですが、二元ミステリーにおけるジョディ

と関連してくるでしょうか。

火事との関連で見ると、

  • 同じく二元ミステリーにおけるジョディ
  • 研究中の事故で亡くなったとされる宮野夫妻

などもつながってくるのかもしれません。

なぜ、このタイミングでこの事件なのか考えた時、あの方やRUMと繋がる描写があるのではないかと勘ぐってしまいますね(例えば、力技を行ったこと→屈強、女性のような顔立ち→女のような男、さらに名前のNARUMIとか、若狭留美と同じく「RUMI」が入るなど)。疑い出したらキリないですが、作中で「るみ」を含む名前が何度か登場しているため、伝えたい何かがあるのだと思います。

後の事件への影響

このピアノソナタ「月光」殺人事件によって、コナンは探偵としてのある信念を強く持つようになり、その影響が見られる事件がありました。後に出てくる事件、15、16巻の名家連続変死事件で、コナンが平次に尋ねるシーンです。

コナン:なぁ服部…お前さー…人…殺しちまったことあるか?

場面は切り替わり、推理で犯人を特定した後、犯人が自殺しようとします。しかし、コナンと平次は、この事件の犯人が自ら命を絶とうとしていることを事前に知り、自殺のために用意されたガソリンを予め捨てていました。

それでも強く自らの死を望む犯人を見た服部とコナンは

服部:あのまんま死なせてやった方がよかったんやろか

コナン:バーロ…犯人を推理で追い詰めてみすみす自殺させちまう探偵は…殺人者と変わんねーよ…

服部:おーおー

耳が痛うてかなわんわ!

完璧なお前しかいえんセリフやのォー…

コナン:ハ…

完璧な人間なんてこの世にいやしねーよ…

オレだってたった一人…

たった一人だけ…

と切ない表情で、浅井成実のことを思い出します。浅井成実の殺人予告状を受けていたものの、殺人を止めることができず、結果的に自分の推理で自殺まで追い込んでしまったことを後悔しているようでした。

そして、さらに後の19巻収録の浪速の連続殺人事件においては、服部が、拳銃で自殺しようとする犯人を命懸けで助けた後、

服部:ど…どっかのアホがゆうてたんや…

推理で犯人追い詰めて死なしたらアカン…てな…

といい、コナンの信念が服部にも影響を与えています。

ただ好奇心で事件を紐解くだけでなく、それによって誰にどんな影響を及ぼすかも考え抜いた上で推理を行う、そうコナンに思わせた事件でした(探偵甲子園でもこの姿勢が見れますね)。

ピアノソナタ「月光」殺人事件のリメイクも

映画「緋色の弾丸」も今後のコナンの推理も楽しみですね!

2021/3/6追記…リメイクの前編を見ました

蘭と成実先生が並んだシーンで成実先生が少し背が大きく描かれていて、原作を読み返してもそうなっていました。身長の設定も細かくされていたわけですね。

また、メモを読んでいただければと思います♪

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