推理の材料 正体推理・考察

APTX4869考察-黒の組織のメンバーの認識&開発の目的について

こんにちは、鳥子です。

今回はAPTX4869についての考察記事です。

 

APTX4869の説明や登場人物たちの薬の認識、APTX4869の本来の目的など、これまでの各キャラのセリフを振り返りながら考察していきたいと思います。

 

以前、動画にしたものの文章バージョンだと思っていただければと思います。

 

APTX4869概要

APTX4869とは工藤新一と宮野志保を幼児化させた薬で、灰原哀がシェリー=宮野志保として黒の組織にいた頃に開発した薬です。

若返った人物としては工藤新一や灰原のほかにもメアリーがいます。

 

組織は開発途中だったこの薬をシェリーに無断で人間に使用します。それが名探偵コナンの始まりでもある、ジンが工藤新一に薬を飲ませた1巻の話となります。

ジンは工藤新一に薬を飲ませる際に、

ジン「こいつを使おう、組織が新開発したこの毒薬をな…

なにしろ死体から毒が検出されない…完全犯罪が可能なシロモノだ

まだ人間には試したことがないらしいがな」

と発言していることから、工藤新一は灰原がつくった薬による最初の被害者であることがわかります。

 

毒薬なので新一は死ぬはずでしたが、薬の偶発的な作用によって幼児化をとげました。

 

ジンは「人間には試したことがない」と言っていましたが、実はほかにも被害者がいるようでした。

灰原はラボにいた頃、APTX4869を飲まされた人物のリストを見ていますが、その中に工藤新一の名前があったことのほか、羽田浩司という人物が記載されていたことを覚えていました。

羽田浩司は日本の将棋棋士ですが、17年前にアメリカで組織に薬を飲まされて亡くなっています。この事件では、羽田浩司の大ファンだったアメリカの資産家、アマンダヒューズも亡くなっていて、未解決の事件となっています。

 

89巻で、羽田浩司について調べるために羽田浩司殺害事件のネット記事を読んだコナンは、17年前にもAPTX4869が存在したことを疑問に思い、薬の開発者だった灰原の年齢を問います。

これに対し灰原は

灰原「失礼ねぇ、言ったでしょ?18歳って…

多分その薬は父と母が作った薬…

私は焼け残った資料を掻き集めて その薬を復活させただけだから…

(まぁ私が本当に作らされていたのは…別の薬なんだけどね…)」

と答えていました。

 

このように厳密には宮野志保の両親である宮野夫妻が開発していた薬があり、宮野夫妻が宮野志保が生まれて間もなく研究所で事故死した際、焼け残った薬の資料をかき集めて復活させたものが、宮野志保がつくった薬・復活させた薬になります。

そしてこれら以外に、灰原が作らされていた薬も存在するということになります。

 

工藤新一は最初の被害者といいましたが、それは全体を通しての被害者ではなく、あくまでも「灰原が復活させた薬の被害者」ということになります。

 

さて、灰原は18巻の初登場でAPTX4869について

灰原「細胞の自己破壊プログラムの偶発的な作用で神経組織を除いた骨格・筋肉・内臓・体毛…それらすべての細胞が幼児期の頃まで後退化する…神秘的な毒薬」

と説明しています。

 

また、灰原は24巻の黒の組織との再会で、

灰原「私達の体を幼児化したAPTX4869のアポとはアポトーシス…

つまりプログラム細胞死の事…そう…細胞は自らを殺す機構を持っていて、それを抑制するシグナルによって生存しているってわけ…

ただ、この薬はアポトーシスを誘導するだけじゃなく、テロメアーゼ活性も持っていて、細胞の増殖能力を高める…」

と説明しています。

 

この説明のうち、灰原が初登場で話していた「細胞の自己破壊プログラム」というのは「アポトーシス」のことを指しています。

 

アポトーシス

細胞はあらかじめ、その死が計画されており、細胞の老化や病気などになると不要な細胞自らが死ぬように設計されています。

つまり、細胞の自己破壊プログラム=アポトーシスとは細胞が自らを殺す機構のことであり、普段はそれが抑制されているものの、APTX4869を投与することによってアポトーシスを誘導させることができる、つまり、意図的に不要な細胞の死を誘導するということです。

 

ただ、これ自体では老化した細胞などが消えるだけなので若返りとは言えません。

しかし、灰原のセリフからすると、アポトーシスの「偶発的な作用」により細胞が幼児期まで後退し、コナンや灰原が経験したような幼児化現象を引き起こしたと考えられます。

またAPTX4869は、アポトーシスの誘導だけではなく、テロメアーゼ活性により細胞の増殖力を高める能力もあります。

 

この細胞の増殖についても、作中で少し描かれています。

その前に、そもそも「テロメアーゼ」は何かを説明します。

 

テロメアーゼ

テロメアーゼとはテロメア合成酵素とも呼ばれ、真核生物の染色体末端にあるテロメアを伸ばす働きがあります。

細胞は分裂する際に、染色体の中のDNAの構造ごと複製して分裂します。分裂とは言いつつも複製して増えるため、増殖の方がイメージしやすいかもしれません。

そしてテロメアとは、染色体の端の部分を示し、真ん中のDNA部分を保護しています。このテロメアがないとDNAが損傷してしまいます。

また、分裂する際に「テロメアがどんどん短くなること」がわかっています。最終的にすべてテロメアがなくなると、分裂ができなくなり、さらにDNAを保護するものがなくなるため、DNAが損傷することになります。細胞の増殖や細胞を守るためには、テロメアは欠かせないことがわかります。

 

24巻の灰原のセリフから、テロメアーゼ活性によって細胞の増殖力を高めることがわかっています。

細胞の増殖力が高まると、何が起こると考えられるでしょうか?

その答えは、24巻で灰原がパイカルを飲んで、宮野志保に戻ったときの発言で

灰原「でも驚いたわ…あのパイカルってお酒、細胞の増殖速度を速めるエンハンサーの要素でも含まれているのかしら?」

といっていることから

  • 細胞の増殖力を高めること
  • 増殖速度を速めること
  • 灰原が大人の姿である宮野志保に戻ったこと(つまり、APTX4869の解毒)

が結びつくことがわかります。

 

これらのことから、テロメアーゼ活性の効果は細胞増殖により、成長の促進、即ち老化を促すと考えることができます。

ここから私は「アポトーシスとテロメアーゼの作用の割合によって、幼児化や若返り、不老、老化などの作用が決まるのではないか?」と考えました。

 

アポトーシスとテロメアーゼのバランス

どういうことかというと

1.アポトーシスの速度>テロメアーゼ活性の速度

第一にアポトーシス、つまり、プログラム自己細胞死の誘導による偶発的作用の速度が、テロメアーゼ活性、つまり、細胞増殖の速度を上回った場合、老化した細胞が増える速度に対して若い細胞が作られる速度のほうが上回り、さらに若い細胞が複製されることによって、若返りや幼児化がおきる、つまり、コナンや灰原が若返ったような現象が起きると考えられます。

2.アポトーシスの速度=テロメアーゼ活性の速度

第二に、アポトーシスの作用の速度とテロメアーゼの作用の速度が同等だと、細胞の若返りと老化が均衡状態になるため、まるで歳を取らないような不老のような状態になる

3.アポトーシスの速度<テロメアーゼ活性の速度

そして第三に、アポトーシスの作用の速度よりテロメアーゼの作用の速度が上回った場合は、プログラム細胞死を免れる細胞が増える速度が早いために、老化するのではないか?と考えました。

 

加えて、1については細胞死が起こりすぎる、もしくはその際の熱によって最悪の場合死に至り、

3については、APTX4869の服用者であれば、解毒の効果に近いことが起きるのではないか?と考えました。

 

そもそも、どういう条件で死亡せずに若返りで留まるのか、そのヒントはメアリーにあると考えていますが、これについては別記事で触れます。

 

ちなみに若返りの条件に付いて1つ、灰原が実験していた際に実験用のマウスが幼児化していることから、幼児化・若返りの条件に血縁などは関係ないと考えています。

 

影響

さて、パイカルがテロメアーゼ活性=細胞増殖を起こさせるなら、お酒が体内を回っている間は一時的にテロメアーゼ活性による細胞増殖の速度がアポトーシスによる細胞死や若返りの速度を上回り、3の老化が発生すると考えられます。

ただし、テロメアーゼ活性によって、細胞の増殖を促進させるということは、悪い細胞を持っていた場合、それすらも増殖させると考えられます。このテロメアーゼと悪い細胞の関係については後述します。

2のアポトーシスとテロメアーゼの均衡状態については、羽田浩司殺害事件の次の回の授業参観の回に関係してくると考えられます。

この回でコナンは、健康診断が何度かありましたが身長が1ミリも伸びていないことを指摘していました。

薬が影響しているのではないかと灰原に聞きましたが、灰原はなんでもないように装っています。

しかし、実は薬の作用で身長が伸びていないのではないでしょうか?

 

服用した瞬間はアポトーシスの速度がテロメアーゼ活性の速度を上回っていたものの、現時点では、それが落ち着き、薬による若返り作用と老化作用がうまい具合に同じ割合で作用し不老に近い状態になっていると考えています。

 

薬の認識

次に、登場人物の薬の認識について、これまで描写されているセリフから考えます。

 

灰原

薬の開発者である灰原は初登場の際、どこにもいく当てのなかった自分を同じく薬で小さくなった工藤新一なら同じ状況になったよしみで理解してくれるだろうと思い、組織から逃げた後、新一の元を訪ねてきていたことをコナンに説明します。

しかしコナンは

コナン「ふざけんな!人間を殺す毒を作ってたやつをどう理解しろってんだ!?

お前が作った薬のせいで、いったい何人の人間が…」

と激怒します。

 

これに対して灰原は

灰原「仕方ないじゃない…毒なんて作ってるつもりなかったもの…」

と答えました。

 

開発者の灰原は、毒だとは認識していなかったようで、薬の開発には毒以外の何らかの目的があることがわかります。

 

他の開発者

では、ほかの開発者の認識はどうなっているのか?を灰原が母親の宮野エレーナからもらったテープを参考に考えてみます。

このテープの内容は、78巻のミステリートレインで明らかになりましたが、その内容の中に薬の話がありました。

灰原の母親である宮野エレーナは、

今とても恐ろしい薬を作ってるの…ラボの仲間は夢のような薬って浮かれてるけど…

とうさんと、かあさんは、願いを込めてこう呼んでるわ…シルバーブレット…銀の弾丸ってね!

と語っています。

 

このことから、宮野夫妻が作っていたころのAPTX4869をラボの仲間は夢のような薬だと認識していることがわかります。

一方で、宮野エレーナは、この薬を恐ろしい薬と印象付けており、また、宮野夫妻は、薬に願いを込めて銀の弾丸と呼んでいるということがわかります。

夢のような薬、とラボのメンバーは前向きな考えを持っているようなので、毒を作っているつもりはなさそうです。毒をつくっているつもりではないという点は、灰原の発言とも一致します。

しかし、宮野夫妻は恐ろしい薬と考えていますから、例えば悪用して何かに使える薬だから恐ろしいと考えているか、あるいは現状は毒薬として作用し、何人もの人を殺害するような凶器になっているから恐ろしいと考えているのか、それともそれ以外の理由があって恐ろしいと考えているのかもしれません。

 

ちなみに作中で銀の弾丸は「ホラーファンは知らない人はいない、狼男の息の根をとめる武器や、魔除けの酒」として描かれています。

銀の弾丸を調べてみると、特効薬のような意味合いで使われることもあるため、宮野夫妻はAPTX4869に治療薬として効果を発揮してほしいと思っていたのかもしれません。

 

この「銀の弾丸」と願っている描写にはAPTX4869の本当の開発目的や、宮野厚司の研究も絡んでくると考えています。

 

APTX4869は何を目標に開発されたもので、ラボや宮野夫妻の印象がどうして今述べたようなものなのかをより詳細に考察するためにも、ほかのキャラの認識も併せて振り返っていきたいと思います。

 

ピスコ

灰原が、両親の薬を復活させたというのはすでに説明しましたし、18巻の発言から灰原がAPTX4869について、毒薬を作っている認識はなかったということも説明しました。宮野夫妻が生きていた頃のラボのメンバーも、夢のような薬というように前向きな考えを持っていますが、宮野夫妻と親しかった組織メンバーのピスコは、24巻で幼児化する灰原を目の当たりにし、次のように発言しています。

素晴らしい!

君はまだ赤ん坊だったから、覚えちゃいないだろうが、科学者だった君の御両親と私はとても親しくてね…

開発中の薬のことはよく聞かされていたんだよ…

でもまさかここまで君が進めていたとは…事故死した御両親もさぞかしお喜びだろう…

このことから、宮野夫妻が当時開発した薬は、組織の認識では完成していなかったと考えられます。

 

また、APTX4869の投与者リストで、工藤新一以外にも多くの人物が死亡していることから、APTX4869は、まるで凶器として開発されたようにも思えますが、ピスコの「まさかここまで進めていたとは」という発言とピスコが幼児化を見た上での「素晴らしい!」「君の御両親もさぞかしお喜びだろう」という発言から凶器や不老を目標として進められた開発ではなく、幼児化、広く言えば、若返る効果のある薬の方が完成形に近いのかもしれません。

 

今のところ、組織が作ろうとしていた目的の薬は、若返りや幼児化の薬のようにみえますが、組織の人間はこの薬のことを灰原が復活させたAPTX4869のシリアルナンバーである4869から、シヤロク、シャーロックを連想し、シャーロックホームズという名探偵からもじって、出来損ないの名探偵と呼んでいました。

 

出来損ないの名探偵

APTX4869は毒の成分が検出されない完璧な薬のように思えますが、何が出来損ないなのでしょうか?

 

これはおそらく、黒の組織が目標とする夢の薬が若返りの薬であるのに対し、これまでジンが工藤新一に投与するまでに、薬を投与した人間や灰原が幼児化したマウスを目の当たりにするまでに、薬を投与したマウスは、全て死亡したことから目的を満たさない薬であると結論付けられ、出来損ないとされたのではないか?と考えることができます。

 

要は、若返りの一例であるマウスも、工藤新一の幼児化も知らないために、若返りという目的の薬が完成せず、ずっと毒薬だと認識しているということがわかります。

 

といっても、本来の目的を知っているのは、おそらくごく一部の人間だと思います。

 

高飛車な女

さて、ここでシステムエンジニアの板倉卓が電話した、女王のような高飛車な女の発言も振り返ります。

高飛車な女は、

高飛車な女「我々は神であり、悪魔でもある

なぜなら時の流れに逆らって死者を蘇らそうとしているのだから」

と発言していました。

これは、組織の開発した薬や、目的としている薬のことを指しているようにも考えられます。

 

死者を蘇らせることができる…ではなく、死者を蘇らそうとしているということですので、文脈をそのまま捉えると、まだ目的が達成できていないように思えます。出来損ないと若干近いかもしれません。

 

治療薬?若返り?

死者を蘇らそうとしているとは、一体何なのでしょうか?

例えば、本当に死体を蘇生させるのであれば、APTX4869のような飲み薬ではなく、注射する薬や気体化した薬などが考えられます。

そのため、死体をなんとかするというより、生きている人間に対して死から遠ざけるというのが、意味的には近いのかもしれません。

 

若返りもそうですが、治療薬であっても、同じように人を死から遠ざけることになりそうですね。

 

これについては、神であり、悪魔でもあるという言葉にも絡んできますが、ここでの神は命を救おうとしていることを示し、悪魔でもあるという言葉は人を殺害してしまうということが考えられるかもしれません。言ってみれば、「神」と「時の流れに逆らって死者を蘇らせようとしている」が結びつき、組織が開発しようとしている本来の薬のことを指し、「悪魔」が人を死に追いやること、つまり、現在のAPTX4869の効果、毒薬を指しているのだと考えられます。

 

恐ろしい薬

さて、ラボの仲間が夢のような薬と言っていた薬を、エレーナは恐ろしい薬と言っていました。

灰原も20巻で、時の流れを捻じ曲げようとすると、人は罰を受けると言っており、

なんらかの副作用、例えばコナンの現在のように、身長が伸びないなどの影響がある可能性が考えられます。

あるいは、死亡するということこそが罰なのかもしれません。

 

夢のような薬だと浮かれていたラボの仲間に対し、宮野夫妻はなぜ恐ろしいと考えたのか、

例えば、本当に薬で若返ることになったら、どんなことが起きるのか想定できていたからこそ恐ろしいと考えた、

あるいは、すでに何人も薬によって死亡していることから恐ろしい薬と考えていたのではないでしょうか?

 

個人的には後者だと考えています。

いってみればラボのメンバーは「若返りという目的」について「夢のような」と言っているのに、宮野夫妻は「その薬の服用者や実験の現状」について、死亡の結果しか得られていないため「恐ろしい」と認識しているのかもしれません。

この点は、神であり、悪魔でもある、という発言の解釈とも似ていますね。

 

宮野夫妻が烏丸グループに所属した時期は、19から18年前の間となりますが、そこで開発した薬が17年前に羽田浩司やアマンダに使用されたと考えられます。この事件では、組織が開発した試作品の薬をラムが持っていて、アマンダは自らそれを飲んで亡くなり、羽田浩司はラムに飲まされて死亡しました。

17年前の時点では、ラムはこの薬のことを、死んだかどうか見定める決まりはあるものの、毒薬として認識していますし、宮野夫妻と関わりがあったとされる若狭先生も、101巻のタイムカプセル回で羽田浩司の遺体を浮かべながら、毒薬として認識しています。また、その毒薬をヘルエンジェル、宮野エレーナが引き継いだということも認識していました。

この薬は、飲んだ人のほとんどを死亡させる薬であると、多くの人に認識されていることがわかります。

 

エンジェルとヘルエンジェル

このことから、私はエレーナに関して次のように考えています。

宮野エレーナの所属当所は、本来ならば若返り、もしくは治療薬の開発を期待されていたために、人を死から遠ざける天使のような存在、エンジェルとして認識されていたエレーナが、結果的に人殺しの薬を開発したことによって、地獄に堕ちた天使、ヘルエンジェルと言われるようになってしまったと考えています。

少なくとも、暗殺や偵察を行うような組織メンバーには毒として認識されており、ラボのメンバーやラボメンバーに薬を作らせていると思われるボスしか、本当の目的は知らないのだと考えられます。組織のNo.2であるラムは、フォトグラフィックメモリーと呼ばれる一度目を通して見たものを正確に記憶する能力を持っていました。若い頃から両目にこの能力を有していたラムですが、年齢が進むにつれて右目の能力を失い、左目に関しては、義眼になったために両目とも能力を失ってしまいました。

ラムはAPTX4869を17年前当時は毒薬として認識していましたが、現在は自身の失われた右目の能力を戻すために使いたいと考えているようです。

 

つまり、ラムはAPTX4869には、毒以外にも効果があると考えているようです。しかも目の時を戻すと発言しているため、まるで若返りのことを指しているようにも思えますが、そもそもこの薬の本来の効果とは…期待される効果とはなんなのでしょうか?

 

開発目的

それでは最後にAPTX4869が開発された本来の目的について考察していきます。

ここからは、烏丸蓮耶、および烏丸グループの活動の時系列、宮野厚司の研究について触れていきます。

 

47年前

羽田浩司殺害事件では、羽田浩司の発言により、47年前に行われた国際経済フォーラムで体調不良で欠席した烏丸蓮耶の代わりに、ラムが登壇していたことがわかりました。

 

50年前

そして、灰原の発言により、我らが主人公=江戸川コナンは、組織が半世紀前から進めるプロジェクトに深く関わっていることがわかります。

この2つの事象、時期が近いのですが、さらにほかの事象と合わせるとある仮説が浮かんできます。

ほかの事象とは、白鳩製薬の倒産です。

 

30年前

30年前、宮野志保の父である宮野厚司は、自身の研究のスポンサーになってくれる白鳩製薬の開発チームに入ることになりました。

宮野厚司は学会でマッドサイエンティストなどと呼ばれていましたが、白鳩製薬は宮野厚司の理念に同意し、宮野厚司を受け入れました。

 

25年前

白鳩製薬は「カゼニキック」と呼ばれる風邪薬を作っていましたが、25年前に烏丸グループが買収しようとして失敗、白鳩製薬は倒産してしまいます。

 

この一連の流れを見てみると

  1. 50年前、烏丸がプロジェクトを立ち上げる
  2. 47年前、烏丸が体調不良でフォーラムを欠席
  3. 25年前、宮野厚司の入った会社を買収しようとする

となっています。

 

この流れから考えられる仮説を次のように考えています。

それは烏丸蓮耶が何らかの病気になり、治療薬を作るためにプロジェクトを立ち上げた

というものです。

おそらくラボメンバーやお気に入りのベルモットくらいしか、その内容を知らないと考えられます。

 

烏丸の病気に関係?

この烏丸の病気や開発する治療薬に、宮野厚司の研究が関与していることを学会などで耳にした烏丸蓮耶は宮野厚司を組織に取り込もうと会社ごと飲み込もうとしたのではないでしょうか?

白鳩製薬が開発したカゼニキックとは「くしゃみ、咳、熱」などの症状に効く薬ですが、宮野厚司の理念に賛同したとのことで宮野厚司の研究と白鳩製薬の薬の内容も関係しているかもしれません。

つまり、組織が求める薬、APTX4869は宮野厚司の研究に関係している、そして、その理念を認めた白鳩製薬もまたAPTX4869に近い内容の薬を開発していると考えられます。そう考えた時に、カゼニキックの効能である「くしゃみ、咳や熱」などの症状より、もっとひどい病気が烏丸を襲っていると仮定したら、烏丸の体調不良の原因となっている病気は、呼吸器系の病気、例えば肺ガンだった可能性があります。

 

もしも宮野厚司がガンの研究をしていたとしたら、烏丸は喉から手が出るほどにその薬を欲しがったことでしょう。

烏丸が40年前に黄昏の館で学者を集めた時も、母が残した宝をひとめ見たいとの欲望から起こした行動でした。

それほどまでに烏丸蓮耶は強欲で、金を使って何でもするといった行動をとっています。きっと、白鳩製薬を買収しようとしたのも、そこに欲しいものがあったからこそ、お金を使って手に入れようとしたのだと思います。それが自分の病気を治す薬だったのでしょう。

 

あれ?

でもAPTX4869って毒の効果以外だと、若返る効果があるよね?

宮野厚司の研究がガンの研究なら、APTX4869と関係ないんじゃない?

と思う方もいるかもしれません。

 

APTX4869とがん細胞

しかし、アポトキシンとガンは意外にも繋がっています。

冒頭のアポトキシンの説明、細胞増殖はテロメアーゼ活性によりテロメアを伸ばすことで、より多く細胞増殖ができるということについて触れました。

人間の細胞が本来は増殖するたびにテロメアが短くなるため、テロメアが伸ばせれば、その分、増殖回数が増やせるということです。

 

実はガン細胞は普通の細胞と違って細胞増殖の際にテロメアが短くならず、何度も増殖ができることが知られています。

ガンの研究にアポトキシンの効果の一つである、テロメアーゼ活性が出てきましたね。

 

ガン細胞、何度も増えるとはいいましたが、中には勝手に死んでいくガン細胞もあります。

それが関わっているのがアポトーシス、プログラム細胞死です。

 

宮野厚司の研究

もちろん、アポトーシスを逃れるガン細胞もあるとは思いますが、宮野厚司はこのアポトーシスをガン細胞で起こすことでがん細胞を死なせ、ガンの治療ができるのではないか?といったテーマを研究していたのではないでしょうか?

 

ただ、ラボのメンバーが夢のような薬と言っていましたが、もしも夢のようなが若返りのことを指すなら、宮野厚司の研究していたガンの治療の一体どこから若返りということが伝わったのでしょうか?

 

おそらくそれが、宮野厚司がマッドサイエンティストと呼ばれていることに繋がるのではないか?と考えています。

 

私は宮野厚司の研究テーマが「アポトーシスの誘導によるガン細胞の破壊」だと考えてみましたが、もしも宮野厚司がアポトーシスの偶発的な作用で若返るかもしれないことを認識しており、それを学会で発言していたらどうでしょうか?

「私の理論ならガン細胞をアポトーシスで消せるはずだ、しかし、もしかしたら治療の過程で若返る可能性もあるかもしれない。」

そんなことを発表したら治療薬で若返る?そんなの現実的にあり得ないし、実用するにしても倫理的にあり得ないだろといって叩かれたかもしれません。

 

しかし、その副作用のようなものに目をつけた烏丸蓮耶は治療薬に加えて若返りを求め、宮野厚司を取り込もうとしたのではないでしょうか?

年老いた烏丸にとって、若返りという言葉は魅力的に聞こえたことでしょう。

烏丸は、宮野厚司の入った白鳩製薬を取り込もうとし、ラボのメンバーには若返りの薬を作れと命令、ラボメンバーはその言葉に夢のような思いでいましたが出来上がった薬は、マウスにも人体にも毒にしかならなかったのだと思います。

そして、白鳩製薬倒産後の宮野夫妻に、烏丸グループに入るように圧をかけていたが、結局間に合わず烏丸は死亡。これが20年ほど前の出来事だと推測しています。

そんなことは知らず、宮野夫妻は怪しいと思っていたものの、19年ほど前に烏丸グループに所属。

ラボのメンバーの開発の状況や宮野夫妻が入ったあとの開発状況、そして、開発した薬が羽田浩司やアマンダの殺人に使われたことを受けて、宮野エレーナは恐ろしい薬と表現したのだと考えています。しかし、宮野夫妻は、当時は人を毒殺するしか効果のない薬に対して、宮野厚司が研究していた治療薬として機能して欲しいといった願いを込めて、銀の弾丸と表現したのかもしれません。

 

組織のNo.2 ラムは、薬の全てを把握しているわけではないようですが、もしも治療薬の認識があるのだとしたら「右目の時を戻す」という発言は、治療によって目を元の状態に戻すことを指している可能性があります。

若返りの可能性を考える方もいるかもしれませんが、APTX4869に治療薬の可能性がある以上は、ラムは単純に若返りたいのではなく、目を治したいという考えがあることも、まだ捨てないでいただきたいです。

 

ベルモットの認識、あの方への想い

さて、もう1人、薬や研究に対する認識について発言しているキャラがいることを、皆さんももちろん認識していると思います。

それがベルモットです。

 

作中では、ベルモットはFBIにシャロンとクリスの同一人物であり、二役をしていたと考えられています。さらに、年をとっていないのではないか?という疑いもかけられている黒の組織の重要な人物です。

そんなベルモットは二元ミステリーにおいて、小さくなったシェリー、つまり、灰原に銃を突きつけ、

ベルモット「恨むなら、こんな愚かな研究を引き継いだ、あなたの両親を」

と発言しています。

 

灰原の発言から、組織は50年前から極秘プロジェクトを立ち上げていますし、宮野夫妻が烏丸グループのラボで作らされていたのはコナンや灰原を幼児化させた薬であることがわかっています。ベルモットの発言の引き継いだという言葉によって、APTX4869は宮野夫妻が所属する前から研究されていたものであるとわかります。しかし、ベルモットはこの長きに渡る研究を、愚かだと考えているようです。

ベルモットは歳をとっていない疑惑があるため、本当にベルモット自身が歳をとらず、シャロンとクリスの二役をやっていた苦労人だと仮定するならば、ベルモットが歳をとらないという現象は、この研究の被害に遭っているからではないか?といったことが予想できます。そのため、ベルモットは自分に被害をもたらした研究を、愚かだと発言しているのでは?と考えている方もいると思います。

 

ベルモットと薬に関する一考察

ここから、私のベルモットに関する考えが入ります。

ベルモットが本当に薬で不老になり苦しんでいる状態なのだとしたら、なぜ薬の開発者であるシェリー=灰原を消そうとするのでしょうか?

ベルモットは秘密主義、うまくやれば組織に見つからずに自身の体を元に戻す方法を、灰原に見つけてもらいたいと考えないでしょうか?

 

この点がとても違和感です。

 

そもそも私はベルモットは不老だとも、シャロンとクリスの同一人物だとも現状考えていません。

そのため、ベルモットは「ベルモット自身が薬の被害者だから研究を愚かだ」と考えているのではなく、純粋に組織が若返りや治療薬を求めて、多くの人間を殺害してしまっている状況に呆れているのではないか?と考えています。

また、宝物だと考えている工藤新一を組織の研究によって巻き込んでしまった、当事者にしてしまったことも、研究を愚かだと考えている一因だと思います。そして、灰原を消そうとしていた理由は、工藤新一を守ることにつながっていると考えています。

 

さらに私は、現在の組織のボス、あの方をシャロンだと予想しています。

流れとしては、元々組織のボスだった烏丸が亡くなったあと、ほかのメンバーにバレないようにシャロンがなりすましているのではないか?と考えています。現在考えている説では、ベルモットは娘のクリスであり、シャロンは母親だと考えています。詳しくは過去の記事をご覧ください。

 

私はベルモットが研究を愚かだと考えている一つの要因として、母親のシャロンが薬に囚われ、悪事に染めるようになってしまったことを嘆いているからだと考えています。

 

一体どういうことなのか?

なぜシャロンが薬に固執するようになったのか?

その動機となるのが、ニューヨーク編の新一、蘭、有希子への語りです。

 

シャロンは新一、蘭、有希子に次のように言いました。

シャロン「この世に神様なんているのかしら?

本当にそんな存在があるのなら一生懸命生きている人間は、誰も不幸にはならないんじゃない?

そう…私にエンジェルは微笑みかけてくれなかったもの…一度もね」

この「エンジェル」ですが、私はこれは宮野エレーナのことを思い出しながら話していると考えています。宮野エレーナは組織でヘルエンジェルと呼ばれていました。この動画の途中でも触れましたが、当初エレーナは、エンジェルだと認識されていたと考えています。

しかし、出来上がったAPTX4869が毒薬だったために人々に死をもたらしたため、地獄に落ちた天使、ヘルエンジェルになったのだと思います。

 

烏丸は生前、ラボに治療薬と若返りの薬を求めていたのだと思いますが、烏丸の死後、組織を乗っ取ったシャロンは、ある背景から、エンジェルであるエレーナに、烏丸のフリをして治療薬を求めていたのではないでしょうか?

ある背景とは、シャロンの夫の病気です。

ニューヨーク編では、先ほどの「神様なんているのかしら?」のあとにもまだ、気になるシャロンのセリフがあります。

シャロン「私の人生は不幸の連続

死ぬ思いでスクリーンデビューしたその日に、

父と母を火事で亡くし、

オスカーを取った翌日に夫が病死、

私の娘として、鳴り物入りであっさりデビューし、

ちやほやされてるクリスとは雲泥の差だわ…。」

いくつか不幸な話があり、どれが本当で嘘かわからないのですが話そうデーの質問によると、作者はこれらの発言を全部作り話と答えたようです。

え?じゃあ作り話なら何も語ることないじゃんと思うかもしれませんが、なんと、このセリフの次のページには、シャロンが夫の墓の前で花を供えていることを思い出しながら喋っている描写があります。

シャロンがもしも(生前の)夫の病気を治す方法を探している時(二十数年前)に、烏丸の治療薬の噂を聞きつけたらどうでしょうか?

すでにシャロンが組織に入っていてその噂を聞いたのか、その噂を聞いてからうまく組織に入り込んだのかはわかりませんが、夫の病気と烏丸の病気が近いものであり、烏丸がその治療薬を作ろうとしていることを知ったのだとしたら、シャロンはなんとかして欲しがったのではないでしょうか?

しかし、その薬は間に合わなかったと考えられます。

その結果、夫は死んだ。

だからこそ、

エンジェルは微笑まなかった

つまり、薬を依頼したけど間に合わなかった、

とも捉えることはできないでしょうか?

 

まだまだ大雑把な解釈でしかないですが、もしも組織が治療薬を作ろうとしていたのだとしたら、そしてそれはごく一部のメンバーしか知らないのだとしたら、シャロンの「エンジェルは微笑まなかった」という発言にも繋がりそうです。

そして、薬に固執した母の行いについて、娘のクリス(=ベルモット)は「ボスである母が治療薬を求めているが、その薬で多くの人が亡くなっている状況」を愚かだと考えているのではないでしょうか?

 

まとめ

全体の話、特に目的や認識について話をまとめると、

宮野厚司の研究内容の推測から、APTX4869は「烏丸の病気の治療薬」として開発されたと考えています。

しかし、烏丸は宮野厚司の研究を耳にしたことで「治療薬だけでなく若返りも求めて」極秘にラボに薬を発注。

そして宮野厚司を取り込もうと勧誘に動きますが、薬が間に合わず、烏丸は亡くなります。

この頃からシャロンがあの方のなりすましを始めますが、組織メンバーにとってはボスは烏丸のままの認識です。

そして19から18年前に宮野夫妻が所属します。

17年前に羽田浩司殺害事件が発生。

ラボメンバーは若返りを夢のような薬というものの、宮野夫妻は「開発した薬によって助かった命がない=多くの人が亡くなっている」ために恐ろしい薬と発言

しかし、元々研究していた治療薬として効果を発揮してほしいことから「銀の弾丸」と呼んだ。

そして、宮野夫妻が亡くなり宮野志保が開発を引き継ぐ。

志保は毒を作っているつもりはなかったが、ラボメンバー以外は毒の認識(ラボメンバーは夢のような薬)

どのタイミングかは不明だがベルモットが薬について情報を聞き、母(=シャロン=あの方)の考えていることについて愚かな研究だと考える。

ラムが毒以外の効果があると考えているのはラム視点で「烏丸が薬によって生きながらえている」と考えているからだと思います。

 

 

色々事実の描写と、考察を交えて、長々と話したのでかなり混沌としてしまったかもしれませんが、これがAPTX4869の考察となります。

若返りはどうしたら起きるのか、解毒薬について、メアリーが飲んだ薬についてなど、まだまだ話したいことは山ほどあるので、また別記事にまとめる予定です。

 

またメモを読んでいただければと思います。

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